物件価格の上昇に関係する、「ウッドショック」について
近年、新築住宅の物件価格は上昇しつつあります。
その原因の中でも特に大きいのが、ウッドショックと呼ばれるものです。
これは、具体的にどのようなことなのかご存じでしょうか?
また、それによってどれほど価格が上昇しているのでしょうか?
ウッドショックについて、解説します。
ウッドショックっていったい何?
昨年から、メディアなどでは新型コロナウイルスに関する話題が非常に多く流れています。
しかし、そればかりではありません。
そのほかの話題も様々で、その中でも特に重要なものとして「ウッドショック」があります。
ウッドショックというのは、かつてあったオイルショックという社会現象になぞらえてそう呼ばれています。
当時、中東の産油国が原油価格をいきなり70%も値上がりしたことで、激しいインフレが起こったのです。
当時、トイレットペーパーの品切れが相次いでいた映像がオイルショックの映像として有名ですが、これは最近も似たようなことが起こりました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクだけではなくトイレットペーパーなどの生活必需品も店頭から姿を消していたのです。
このようなオイルショックになぞらえて呼ばれるウッドショックは、果たしてどのようなことが起こったのでしょうか?
それは、木材の価格高騰と不足です。
日本には森林が多いため、木材は国産でまかなえているように思えるかもしれません。
しかし、実は海外から輸入されている木材も多いのです。
日本ではあまり植えられていない木材も多いため、これは当然と言えるでしょう。
そして、近年はその輸入木材の需要が急激に高まり、木材価格が高騰してしまったのです。
そして、その高騰の原因となったのも新型コロナウイルスです。
一見するとつながりがないように思えるでしょうが、実は複雑に絡み合った結果、影響を及ぼしています。
その中でも大きいのが、働き方の変化です。
2020年から感染が拡大した新型コロナウイルスにより、世界中で働き方に変化が生じてテレワークなど自宅での仕事をする人が増えています。
家などは、これまで寝る場所としてしか考えていなかった人もいるでしょうが、長い時間を過ごすようになると快適さを求めるようになります。
その結果、これまで賃貸住宅に住んでいた人も一戸建てなどの広い家に住みたいと考えるようになったのです。
その需要が特に増えたのが、アメリカです。
そして、その流れはアメリカから世界中に広がっていきました、
その結果、住宅を建てるのに必要となる木材の需要が高まり、価格も高騰したのです。
ただし、日本では当初、そのような動きがありませんでした。
日本では、当時不動産市場が活気を失っていたため、世界中で需要が高まっていてもあまり関係がなかったのです。
しかし、2021年になって市場が回復してくると、遅ればせながら日本でも需要が高まっていきました。
戸建て住宅などの広い家に住みたいと考える人が増えたのですが、その頃には世界中ですでに木材の需要が高まり価格も高騰していたので、日本だけ今まで通りの価格で購入するということができるわけもなく、やはりその影響が物件価格の上昇という形であらわれたのです。
さらに、コロナ禍の長期化によって国際海上輸送にも影響が出て、動きが滞りつつありました。
それもまた、輸入木材の不足の一員となってしまい、価格はさらに上昇することとなったのです。
不足したのは木材だけではなく、輸出入に用いられるコンテナも不足してしまったことで、輸送費も高騰することとなりました。
それも木材価格に上乗せされてしまった結果、物件価格の上昇が起こったのです。
特に大きな影響が生じたのが、輸入木材を主に使用していたローコスト住宅や建売住宅です。
そして、新築住宅の建築費用が高騰したことで新築を諦め、中古住宅を探す人が増えたことで中古住宅の物件価格も上昇していったのです。
物件価格の上昇はどのくらい?
では、ウッドショックによる物件価格の上昇は、具体的にどのくらいになっているのでしょうか?
特に、都内や新築住宅の需要が高い横浜市や川崎市などの価格の変動は、気になるところです。
東京都内の新築一戸建住宅の平均価格は、2020年5月頃は4400万円前後でした。
しかし、2022年2月頃の価格を見ると、5320万円まで上がっています。
物件価格の上昇割合は、およそ2年で20%にもなっているのです。
横浜市や川崎市のエリアで見ると、2020年1月頃の価格が4200万円ほどでした。
それに対して、2022年1月頃の価格は4800万円ほどになっています。
横浜市・川崎市の物件価格の上昇割合は、15%ほどとなっています。
東京都内と比較して、横浜市・川崎市の物件価格の上昇割合は、やや低くなっています。
首都圏では特に高騰しているのが千葉県西部エリアで、次いで23区内や都内、さいたま市と続いて、横浜市・川崎市となっています。
また、2017年の新築一戸建て平均価格を基準にした場合、千葉県西部の物件価格の上昇割合は20%以上となっています。
さいたま市は約20%、23区内は13%、横浜市・川崎市は10%ほど上昇しています。
また、横浜市・川崎市はここ数年、土地の価格もかなり上昇傾向にあります。
新築一戸建ての建築費用ばかりではなく、土地の価格にも目を向ける必要があるでしょう。
ウッドショックへの対策は?
ウッドショックを懸念して、今は家を買うのを控えようと考えている人もいるでしょう。
しかし、現在は住宅ローンの金利が非常に低いため、今後金利が上がることを考慮するとウッドショックによる物件価格の値上がり分をカバーできる可能性が高いのです。
そして、ウッドショックにはいくつかの対策があります。
1つは、建築費をなるべく安くすることです。
そしてもう1つは、予算を上乗せする方法を探すことです。
建築費を下げるには、本来であればローコスト住宅や建売住宅が狙い目でした。
しかし、その2つは輸入木材を多く使用しているため、現在特に影響を受けています。
そんな中、建築費を下げるにはどんな方法があるのでしょうか?
まず、複数の工務店やハウスメーカーに相談して、相見積を取りましょう。
その内容を比較して、時には他の見積もりを引き合いに出して交渉します。
そうすることで、建築費を下げることができるのです。
特に横浜市や川崎市の場合、大手のハウスメーカーばかりではなく地元の工務店なども数多くあるため、自分のこだわりを持った家を予算内で建てられる可能性が高くなります。
見積もりだけもらって断るのが申し訳ない、と思わずに、遠慮なく依頼しましょう。
予算を上乗せするには、補助金制度を活用するという方法があります。
地域型住宅グリーン化事業というもので、国産木材を使用した注文住宅を建築する場合に補助金をもらうことができるのです。
これには、地域の木材を使用した耐久性やエネルギー性に優れた木造住宅を建てるという条件があり、さらに 依頼するのは登録されている工務店でなければいけません。
その条件を満たすと、最大で150万円の補助金が支給されます。
横浜市や川崎市、およびその近郊にも、地域型住宅グリーン化事業に登録している工務店が多数あります。
円高の影響もあって木材価格はその分高騰していますが、今後状況が改善される保証もないため、思い立ったタイミングで家を購入することをおすすめします。
まとめ
ウッドショックにより、新築一戸建て住宅物件価格の上昇はかなりの割合になっています。
そして、その影響は中古住宅にも及んでいます。
これから家を建てようと思っていた人の中には、躊躇した人もいるのではないでしょうか。
首都圏で住宅を購入しようと思っている方には、値上がり幅が少ない横浜市・川崎市で購入することをおすすめします。