物件価格の上昇にはどういった要因があるのか
日本の物件価格は、都心部を中心として上昇傾向にあります。
しかし、物件価格の上昇にはどのような要因があるのでしょうか?
物件価格の上昇の要因は1つではなく、様々なことが複雑に絡み合っているのです。
主な要因としてはどのようなことがあるのか、また、それがなぜ物件価格の上昇に繋がるのかを解説します。
物件の価格推移
日本は現在、政策金利が低いため住宅ローンも低金利で利用できるようになっています。
それによって、住宅を購入しようという動きも活発になっているのです。
これまでの物件価格と、現在の価格の推移について解説します。
日本で不動産の物件価格が高騰していた時代といえば、「バブル」と言われた時代が思い出されます。
1990年には、東京都内の新築マンションの平均坪単価が最高値である464.1万円となっていました。
しかし、そこをピークとして価格は徐々に落ち始め、バブルが崩壊したと言われる1992年頃にはすでに400万円を切っていて、その10年後の2002年頃までは下落が続き、平均坪単価は半値以下の200万円前後まで落ち込んでいたのです。
その後は再び上昇しつつあったのですが、2008年に起こったリーマンショックの影響で世界中の経済が不安定になってしまい、日本でも倒産する企業が増えるなど景気が悪化してしまいました。
しかし、2012年頃から再び物件価格の上昇へと転じています。
2013年ごろからは、アベノミクスや低金利政策などの効果で、本格的に物件価格の上昇が生じているのです。
現在は、金融緩和による低金利政策が効果を発揮し、住宅ローンを組む難易度が低くなっています。
それによって住宅を購入する人が増え、不動産投資には富裕層以外も参入するようになりました。
物件価格の上昇の経済的要因は?
物件価格の上昇の要因となるのは、どのようなことでしょうか?
それには、大きく2つの要因が関係しています。
経済的要因、そして社会的要因です。
経済的要因というのは、日本国内、および世界で生じる経済情勢の変化のことをいいます。不動産の物件価格の上昇は、そういった変化の影響によって起こりやすいのです。
例えば、2011年には東日本大震災が起こりました。
非常に広範囲で大規模な被害を生み出したこの災害では津波の影響もあり、多くの建物が倒壊・浸水して過去に類を見ないほどの被害が与えられてしまいました。
この災害で特に被害が大きかったのは東日本ですが、その影響は全国に波及していて不動産市場も大きく揺れ動いたのです。
それは、建築資材や人材の不足によるものです。
被災地では、復興のために多くの建築資材、そして人材が必要とされていて、全国から支援を受けました。
その結果、被災地以外の場所でも建築資材や人材が不足することとなったのです。
資材が不足すると、需要に対して供給が不足することになるため、価格が高騰してしまいます。
そのせいでマンションや住宅の建設費用が嵩み、物件価格の上昇の要因となったのです。
外国人投資家の資金投入が、物件価格の上昇の要因となることもあります。
元々2020年に予定されていた東京オリンピックの前などは、中国や台湾などの投資家が日本の物件に注目していました。
日本ではマンションを中心に物件価格の上昇が続いていたため、買い占めを考える投資家も多かったのです。
こうした動きが、更に価格を押し上げています。
また、日本では2016年から金融緩和によるマイナス金利政策が始まっています。
この政策により、住宅ローンの金利は過去にないほどの超低金利となっているため、住宅を購入したいと考えている人にとっては非常に借りやすい状況になっています。
また、住宅ローンを長期間固定金利で利用できるフラット35が広く普及したことで住宅を購入する人を後押ししたことも、物件価格の上昇の要因となっています。
購入者が多ければ価格を上げても売れるため、価格は上がっていくのです。
基準地価の上昇も、物件価格の上昇の要因となっています。
インバウンドの影響などもあり、基準地価は2018年に27年ぶりの上昇となりました。
また、大手不動産会社の株価が高値を推移しているのも、その一因となっています。
こういった状況から、ホテルや大型商業施設などが集まっている商業地は基準地価が上昇していて、それが全国的な地価へと影響しており、それが全体的な物件価格の上昇へとつながっているのです。
物件価格の上昇の社会的要因は?
物件価格の上昇には、社会的要因もあります。
社会的要因というのは、大規模なイベントの開催や地方都市の再開発、人口増加などを言います。
経済的要因にもありましたが、東京オリンピックの開催などは社会的要因としても物件価格の上昇に影響します。
東京オリンピックは2回目の開催となりますが、1回目の時も物件価格が上昇しているのです。
また、オリンピックに向けてその周辺地域や会場となる地域では、インフラの整備や都市機能強化などの動きがあります。
そういった動きも、物件価格の上昇につながっていくのです。
また、2025年には日本万国博覧会が開催されますが、その開催予定地としては大阪市の夢洲が名乗りを上げています。
開催された場合に想定される来場者数は、およそ2800万人くらいを想定しています。
その来場者は国内だけではなく、当然、世界各国から集まることが予想されます。
そのため、経済効果もかなり高くなるでしょう。
また、投資家からの注目も集まることになります。
そして、東京オリンピックと同様に会場やその周辺の地域では、インフラ整備や都市機能の強化などもされることになるでしょう。
そういった動きが、周辺地域の物件価格の上昇につながっていくと予想されます。
現在活発になっている地方都市の再開発も、物件価格の上昇の要因になっています。
大型商業施設なども相次いで建設されていて、その周辺に人が集まるようになります。
そうして、ブランドとしての価値が付くことで、物件価値の上昇につながります。
再開発されているエリアは、いくつかのサイトで確認することができます。
そういったエリアに注目することで、物件価値の上昇については確認できるでしょう。
特に、大きく再開発されているエリアに注目してみてください。
日本が抱える重大な社会問題に、少子高齢化があります。
人口動態調査を見ると、人口は年々減少しつつあります。
しかし、その中で東京都や横浜市、川崎市などの首都圏の人口は増加しつつあるのです。
人口が増えているということは、物件の需要が増えるということです。
特に、横浜市や川崎市は東京にもアクセスしやすく非常に人気があるエリアです。
こういった動きが、物件価格の上昇の要因となっています。
物件価格の上昇には、様々な要因があります。
多くの場合、そのうちの1つだけではなく複数の要因が絡み合って価格上昇につながっていきます。
1つの要因だけではなく、複数の面から物件価格の上昇の要件に当てはまる点がないかを確認してみましょう。
そうすれば、あらかじめ上昇する兆しを感じ取ることができるでしょう。
まとめ
現在、物件価格は上昇傾向にあります。
その中でも、都心部や横浜市、川崎市などで物件価格の上昇の傾向が顕著となっているのですが、それには様々な要因があるのです。
物件価格の上昇にはどういった要因があるのかを知っていれば、今後の予想もしやすくなるでしょう。
将来の物件購入や投資などに備えて、よくある要因については把握しておきましょう。