住宅ローン金利とは?
住宅ローンを利用した場合、借りる金額はかなり大きくなります。
そのため、金利が非常に重要となるのですが、住宅ローン金利がそもそもどういうものかがよく分からない、という人もいるでしょう。
住宅ローン金利とは何か、それがなぜ重要となるのかを解説します。
住宅ローン金利とは?
住宅ローンを利用した場合は、金利が発生します。
元金にその金利を加えて返済してくことになるのですが、そもそも金利というのは何かを良く知らない人もいるでしょう。
銀行や貸金業者、クレジットカードなどを利用してお金を借りることができるのですが、それはいずれ返済する必要があります。
そして、返済する時は借りた金額をそのまま返せばいいのかというと、そういうわけではありません。
お金を借りる契約をした際に、返済する時は借りたお金、元金に対して一定の割合をかけた金額を加えて返済するよう契約書には記載されています。
その一定の割合のことを、金利と言います。
金利によって発生する金額を、利息と言います。
また、似たような言葉として利回りというものがありますが、これは投資した元本がどれだけの割合で増えていくか、という意味です。
金利には、1日ごとの割合である日歩、1ヶ月ごとの割合を示す月利、1年毎の割合の年利の3つがあります。
住宅ローンや普通預金、定期預金、金融商品、国債などの金利は、1年間の割合を示す年利で表示されることがほとんどです。
年利と言っても、必ず1年分の利息が発生するわけではありません。
1年間に満たない期間については、1年分の利息を計算してそれを365日で割り、該当する日数をかけた金額が利息となるのです。
例えば、5000万円を年利4%で借りた場合、1年間の金利は200万円です。
これは、1年後に5000万円を一括で返済する場合の金利で、例えば毎月10万円ずつ返済していく場合はその翌月分の利息を10万円差し引いた金額で計算していくことになります。
そのため、元金×金利=1年間の利息となるわけではありません。
実際には、それよりも少ない金額となるのです。
そして、元金と共に一定金額ずつ、毎月返済していく事となります。
1年間の返済額をシミュレーションしていくと、以下の表のようになります。
元金を2000万円、金利を3%、20年返済という条件で毎月元金と利息を合計した一定額を返済する場合、利息が減っていくことが分かります。
返済回数 | 元金 | 利息 | 返済額 | 返済後残高 |
---|---|---|---|---|
1 | \60,919 | \50,000 | \110,919 | \19,939,081 |
2 | \61,072 | \49,847 | \110,919 | \19,878,009 |
3 | \61,224 | \49,695 | \110,919 | \19,816,785 |
4 | \61,378 | \49,541 | \110,919 | \19,755,407 |
5 | \61,531 | \49,388 | \110,919 | \19,693,876 |
6 | \61,685 | \49,234 | \110,919 | \19,632,191 |
7 | \61,839 | \49,080 | \110,919 | \19,570,352 |
8 | \61,994 | \48,925 | \110,919 | \19,508,358 |
9 | \62,149 | \48,770 | \110,919 | \19,446,209 |
10 | \62,304 | \48,615 | \110,919 | \19,383,905 |
11 | \62,460 | \48,459 | \110,919 | \19,321,445 |
12 | \62,616 | \48,303 | \110,919 | \19,258,829 |
住宅ローンでは毎月一定額を返済していくことが多いので、利息が減ったという実感がないことが多いのですが、実際には毎月の返済利息が減り、その分返済する元金が増えています。
そのため、翌月の利息はさらに少なくなっていくのです。
また、住宅ローンの金利には固定金利と変動金利があり、ここでは固定金利で計算しています。
しかし、変動金利の場合は途中で金利が変わる可能性があるので、計算はさらに複雑になるでしょう。
住宅ローンの金利に見られる特徴
住宅ローンの金利には、他の借り入れの際の金利には見られない特徴があります。
それは、基準金利と実際の借り入れにかかる金利が異なるという点です。
なぜ、そのようなことになっているのでしょうか?
銀行などの金融機関では、基準金利というものを定めています。
店頭金利とも呼ばれるもので、本来の金利ともいえます。
しかし、これがそのまま適用されるわけではないのです。
金融機関が定めている金利には、所定の金利引き下げがあります。
その引き下げ分を差し引いたものが、実際に借り入れをする際にかかる借入金利となるのです。
ただし、この金利の引き下げは必ずあるわけではありません。
場合によっては、基準金利がそのまま適用されることもあるのです。
その場合、基準金利=借入金利となります。
住宅ローンの借入金にかかる金利は、金融機関によって異なります。
また、同じ金融機関でも商品によって金利が変わってきます。
さらに、返済期間や頭金として支払った金額の比率次第で変わってくることがあるのです。
また、住宅ローンにかかる金利は他のローン…例えば、マイカーローンやカードローンと比較して低いというのも特徴です。
それは、住宅が担保となることや使用目的が限られることなどが理由です。
また、住宅ローン金利については、市町村で優遇措置を用意していることがあります。
例えば横浜市では、金融機関との連携によってCASBEE横浜の評価が高い住宅を購入する際に、優遇金利が用意されています。
また、川崎市では地域連携型のフラット35が提供されていて、子育て支援やコンパクトシティ形成、空き家対策などに取り組むための財政的支援と合わせて、借入金利を一定期間引き下げています。
近年はなぜ低金利なのか?
住宅ローンの金利は、超低金利時代と呼ばれている近年になって大きく下がり、低水準となっています。
1980年から90年代のころと比べると、その差は顕著です。
かつては変動金利制が主だったのですが、1984年頃の金利は8%を超えていました。
1988年頃には5%まで下がったものの、再び上昇して1991年ごろには1984年の金利を超えるほど高くなりました。
そこからは再び下がり、1995年頃には再び4%ほどに下がっています。
そして、その頃の期間選択型の固定金利は、3年の場合4%を少し超えるくらいで、変動金利型を上回っています。
その後、どちらの金利も低下して3%を切るくらいになりました。
一方、1997年頃の固定金利期間選択型(10年)の金利は4%近くあり、他の2つを上回っています。
そこから多少の変動はあるものの、基本的に変動金利が最も安く3年の固定金利期間選択型が次いで低くなっていて、10年の期間選択型が最も高くなっています。
このように、金利は、常に変動しているのです。
近年の金利が低水準になっているのは、日本銀行のゼロ金利政策や、2016年に開始したマイナス金利政策などが影響しています。
中央銀行の行ったことなので、国内すべてに影響が出ているのです。
ゼロ金利政策は、政策金利が限りなくゼロに近づくよう誘導するという金融政策です。
これによって、銀行が資金を調達する際の金利がほとんどなくなり、企業への融資もしやすくなるため、経済が活発化して景気を刺激する、という効果に期待できるのです。
日本銀行では、1992年に短期金利の指標となる無担保コール翌日物の金利について、史上最低となる0.15%に誘導すると決定したのですが、当時の日本銀行総裁が金利をゼロにしてもいいと発言したことから、ゼロ金利政策と呼ばれるようになりました。
これは、日本以外でもアメリカやスウェーデン、スイスなどでも導入されたことがあります。
マイナス金利政策は、中央銀行に民間の金融機関が預ける当座預金の金利をマイナスにする、というものです。
金融機関は他行と取引をする際、決済をスムーズにするために一定の準備金を中央銀行に預けることが決められているのですが、その最低金額を超えている部分を超過準備と呼び、それにかかる金利をマイナスにするというものです。
これによって、通常は利息を受け取れるところが逆に手数料として一部を徴収されることになるため、金融機関は中央銀行に置かずに投資や融資へと回そうという動機になります。
そのため、この政策によって通常以上のお金が市場に出回るようになるので、景気対策やデフレ対策になります。
こういった政策もあって、住宅ローン金利は以前よりもかなり低水準となっているのです。
まとめ
住宅ローン金利には、他のマイカーローンやカードローンとは違った特徴があります。
現在の住宅ローン金利はかなり低水準なので、希望している人は借りやすくなっているでしょう。
借りる金額が大きい住宅ローンは、金利が低くても発生する利息はかなり大きな金額となります。
そのため、返済計画などは慎重に考えてどこから借りるといいのかなど、しっかりと検討したうえで利用しましょう。